春の桜といえば、よく並べられるのは、秋の紅葉。
でも花で例えるなら、間違いなく「秋のキンモクセイ」だろうと思います。
夏が終わる寂しさに包まれながら、でも微かにワクワクとしていられるのは、キンモクセイの季節の到来を予感しているからにほかなりません。
いつもその姿を見つけるより、香りの方が先。
どこからともなく漂ってくる甘く華やかな香りを追いかけ、目の先にビビッドなオレンジの花を見つけては「お、キンモクセイ か!」と、心が弾み顔がゆるむのです。
桜前線や紅葉のようにニュースなどで、開花時期が予測されるわけでもない。だけど私は知っています、この香りを心待ちにしている人のいかに多いことか…!
あのおびただしいほどの、でもあまりに小さな花々から発せられる、目の覚めるような幸せの香りにむせ返る幸せのひととき。
それは雨に降られると簡単に散ってしまう、儚い命でもあります。
私の住むマンションのアプローチにも2本、木が植えられていて今、満開です。(いつまでもつかな)と、咲き始めからすでに名残惜しさがこみ上げるのは、きっとその刹那を知っているからでしょう。
街歩きをしていてもふとした瞬間に、その存在を感じられるキンモクセイ の季節。
今週は雨が続くようですが、どうかもう少しだけこの香りを楽しませて欲しいと、願わずにはいられないのでした。
鴨川沿いでも圧倒的な香りに包まれる
花から離れた場所にまで風が香りを運んでくれる