京都の和菓子界において「鶴屋吉信」さんと言えば、名前くらいは知っているのではないでしょうか。
享和3年創業の、老舗和菓子店です。
その「鶴屋吉信」さんが堀川今出川の角地、本店のすぐ隣に2019年2月4日、「tubara cafe(つばら カフェ)」をオープンされました。定番のお菓子「つばらつばら」や銘菓「巣ごもり」などをお好みのドリンクと一緒にいただけます。
こちらも某雑誌の取材でお伺いしたのですが、お店さんの想いやこぼれ話など書き切れなかった内容をご紹介したいと思います。
「つばらつばら」とは万葉の言葉で「しみじみ、心ゆくまで」という意味で、店名の「tubara cafe」はそこから付けたのだとか。
「和菓子の本当の良さを知って欲しい」という想いでオープンされたカフェは、木と石と真鍮をベースにした温かみのある内装と、広々とした空間が印象的です。
「ゆったりと、それこそ “つばらつばら” 和菓子を楽しんで欲しいので、席数も多くせず窓を広く取り、ゆったりと寛げる空間にしています」と女将さん。
また特筆すべきは、敷地内を囲むように配された立派な日本庭園。
店内のお客さんはもちろんですが、通り過ぎる人にとっても目の休まる場所となるように、とのこと。
また車や人が急ぎ足で行き交う外の世界と、静かな時間が流れるカフェの店内を隔てる存在にもなっているようでした。時々は小鳥がやってきて囀るという、自然を感じる空間に身を置くと、街の真ん中とは思えないほど寛いできますね。
お庭を愛でながら、和菓子を楽しむ。老舗のお店らしいおもてなしの心を感じます。
植物も植えられ、これから四季折々の表情を見せてくれるはず
大きく取られた窓枠を生かすため、テーブルもあえて低くしているそう
和菓子のメニューはいたってシンプル、全てお菓子とドリンクのセットです。
◆「巣ごもり」1,000円
◆「つばらつばら」1,000円
◆「シフォンケーキ」1,000円
◆「つばらクッキー」900円
※全て税別
そしてドリンクは、つばら紅茶(H/C)、コーヒー(H/C)、ハーブティー(H/C)、ほうじ茶(H/C)などから選べます。
ちなみにコーヒーは北山の「CIRCUS COFFEE(サーカスコーヒー)」さん焙煎の「紫竹ブレンド」がぴったりだったとか。深煎りでほんのりと苦みを感じるコーヒーが、こちらでいただける和菓子に合うようです。
奥の右から「巣ごもり」「モリンガティー」、手前「つばら紅茶」、「つばらつばら」「ホットコーヒー」
ドリンクやお菓子に合わせてスタッフの方が選んでくれる、器も可愛いー!
この「つばらつばら」ですが、焼き皮が工場より直送されるため、水分量が多い状態でラムレーズン・抹茶・柚子と3種のマスカルポーネ餡を包みます。もちもちでありながらふんわりした口当たりは、本店などで購入できる「つばらつばら」とはまた一味違うそう。カフェでのみ楽しめる味わいです。
ラムレーズンをいただいたのですが、思ったより主張は強くなく、それでいてラムレーズンの薫りが鼻から抜けるほど風味豊か。レーズンの食感も楽しく、食べ応えもたっぷりでした。美味しい…♡
そして「巣ごもり」は、伝統的な和菓子で今はこちらのカフェでのみ食べられるそう。
吉兆を告げる鶴が大切に育てている卵をイメージした、おめでたいシーンにもぴったりのお菓子。卵に見立てたコロンとしたフォルムが愛らしいですね!
女将さん曰く、「こういう素朴な和菓子にこそ、職人の技術や伝統的な美しさ、そして手で掴んで一口でいただくところに温かさがあるんです」と。そんな正統派かつ温かみのある和菓子「巣ごもり」は、引き出物として贈る和菓子でもあったそうです。
お礼やお祝いなど、気持ちを和菓子に込めて贈る、そういう文化も素敵だなぁ、と思いました。
単純に洗練された空間で、気軽に老舗の味を楽しめるカフェ、それだけでも行く価値は十分ですけどね。
「tubara cafe」
Open:10:30〜17:30(LO17:00)
Close:水曜
Instagram:https://www.instagram.com/tubaracafe/