いくら見たくても決して予定できない、人生最期のイベントを見てきました。
それは、お葬式…!インドネシア・バリ島で「ガベン」と呼ばれるものです。あまりの躍動感、迫力に帰宅してまだ圧倒されています。
はじまりはホストの耳にかかる花
先日、ホストの両耳に花がかけられているのを見ました。右に赤、左に白(確か)で、(男性なのにラブリーね)と思っていました(事情を知らないから!汗)。
すると、そこからいつものワルン(食堂)へ向かう道すがら、すれ違う次の男性、その次の男性も皆が同じように花を耳にさしていたのです。
さすがに、なにかあるのだなと気づき、その後のワルンでインドネシア人の友人に聞いてみたところ「それはガベンのセレモニーのドレスコードかも」とのこと。
実はこのワルンを運営するご夫婦とは、仲良くさせてもらっているのだけれど、ジャカルタ出身の二人。ワルンを開いたのも2ヶ月前、バリの伝統や文化に関心は高いものの、まだまだ知らないことだらけだそう。
バリ人が持つ「ガベン」への情熱
ガベンとはお葬式のことで、この3日間ずっと開かれているのは事実。
このガベンですが、ウブドのなかでも地域や通りごとで一丸となり執り行われるそうです。今回は、私が滞在しているホームスティのある通りの方が亡くなったため、この通りで暮らしている人が、集まり盛大に最期の見送りをしているのです。
もちろんだけれど、かなりの出費もあるそうで、ガベンの規模はその経済状況により異なるのだとか。ただワルンの店主いわく、払えない場合は補助が出るとのこと。そこまでガベンにかける情熱よ!
そしてその店主が、最後にこう言いました「見たかったら、明日、一時からここに来たらいいよ!会場の家はすぐそこだから」と。え、私もお葬式見に行けるの?
どうやら明日はガベンのクライマックス、ついに火葬です。明日は故人のご遺体を移動し、そちらの火葬場で火葬するのです。そしてその移動のパレードは、誰でも見ることができると知りました(なんと、オープンな!)。
ウブドでは地域や通りごとに火葬場が異なり、今回の通りの管轄する(?)火葬場はなんと観光客であふれるモンキーフォレストのなか!とはいえ観光客が見られる範囲は限られているでしょうが、パレードは気になりますね。
雨の晴れ間に…
当日、ウブドは朝から大雨。(これは…執り行われるのだろうか、そもそもカフェから出られない)と思っていたら、なんと直前に雨がスパッと止むではありませんか…!あれほど振っていたのに…。
浄化の雨だな、と心のなかで思いつつ、カフェ執筆を切り上げ例の通りへ向かいます。
「バデ」が家の前から出発!
このとき、この場に居合わせたことを私は本当にツイてると思いました。
いつもの通りからはじまったガベンのパレードですが、京都の祇園祭(どちらにも失礼のないことを願う!)を思い出させる、神輿のような塔(バデ)を担いで町を練り歩くのです。
雨で少し遅れたかと思いましたが、まだバデは家の前につけられており、どうやら家のなかからバデへと、棺桶のような箱が運ばれているのも確認できました。
用意がすべて終了すると、いざ、出発です…!
躍動感あふれる迫力満点のパレード!
家族や故人の生前の活動などにより、つまり経済状況により規模は変わってくるようですが、今日見たバデは、そびえるほど高くはないものの、ウブドのこじんまりとした町の感じにはとても立派に見えました。
このバデを地域の男性の担ぎ手たちで持ち上げ、練り歩くのですが、相当重いようで持ち上げるタイミングで「うおー」「おー--」と野太い声が響き、持ち上がると周りから拍手やよくやった!というようなヤジ?が飛びます。
そして周りにはそれを一目見ようと集まる人々、そして私と同じように外国人として参列する人も少なくありませんでした。
出発した家から、まずはひとつ目の角を曲がります。このときも、狭い道を曲がるため声をかけ合いながら、全力で曲がります。
そしてしばらく行くと、ウブドの中心地であり観光客が一度は訪れるHanoman(ハノマン)通りを左に曲がり、モンキーフォレストを目指します。
もちろんですが、このような状態ですから、パレードのあいだは道路は閉鎖。
とはいえ、いつもバイクが縦横無尽に走っている町中なので、パレードの後ろはこんな状態に…!
また私的に目が離せなかったのは、このバデの高さで、町中の電線に引っかかってしまうため電線を持ち上げる役割の人が、数人いつもバデの回りでサポートしていたこと。
ウブドならではの、とても重要な役割だな、と感心してみていました。
バデの担ぎ手に知ってる顔が!
ここでふと、目をやった先に、なんと!知った顔があるではありませんか。
ウブドに来てまだ半月ちょっと、その短い期間で知った顔がこのバデを担いでいるのです…!
「明日おいでよー」と教えてくれたワルンの店主、旦那さんの方です。
彼はウブド、ましてはバリ島出身でもなく、いわばアウェイのはず。ですが、同じ通りに店を構えていることから早くこの地域に馴染みたい想いもあり、彼は名乗りをあげたのでした。
動画も撮りましたが、ここへの上げ方がわからないためスクショで。この一枚からでもその躍動感、迫力が伝わると嬉しいです。
こちらも動画のスクショですが、伝統的な衣装を着てエキゾチックな楽器を演奏する彼らも、このガベンの主役級に目立っていました。体に響くドラムの音も、最高にかっこよかったー!
結局、やはり観光客(つまり関係者以外)はモンキーフォレストのなかまでは、ついていくことができませんでした。
それはおそらくモンキーフォレストが有料地域だからで、そうではない場合、火葬は見学できるところもあるようです。なので余計に残念!モンキーフォレストの入園料払って…ととっさに思ったのですが、入り口も遠いし、彼らがどこへ向かうのかもわからないため、ここまでとさせてもらいました。
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私の初ガベンを、シェアさせてもらいました。
ガベンとはお葬式なのですが亡くなった後、(月まわりなど)色々とみて最適な日に執り行われるため、亡くなった後の悲しみに暮れる時期から少し経っていることが多いそうです。そのため、人々はすでに喪失感を受け入れつつあるのかもしれません。
もちろん輪廻転生を信じている人たちが多いこともあり、「明るい気持ちで送り出す」ことがよきとされているのかな、とも感じました。
人々の笑顔、楽器の振動、バデの担ぎ手たちの躍動感…心に迫ってきました。
こればかりは予測することもできないので、たまたま滞在している一ヶ月のあいだに執り行われて、このような機会に感謝(故人の方にも…)です!