エシカルノマドの指南書

世界放浪からオーストラリアへ移住後、物書きを生業とすべく帰国。自然に沿った暮らしをテーマに発信、今はエシカルとノマドの両立を目指す日々です

【心の栄養・本】私たちの日常も旅もクオリアで満ちている!「脳で旅する 日本のクオリア」茂木健一郎著【レビュー】

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Hello all! ナチュラルライフ探求ライター、miaです。

 

季節の変り目、旅の道中、何だろうこの感覚は…と思うことがありませんか⁉過去の記憶と繋がりそうで繋がらず、手が届きそうで届かない。でも確かに「知っている」、感覚。

 

>「クオリア」とは、私たちの意識の中でとらえられるさまざまな「質感」のことである。-本書引用-

 

と本書では定義されています。

 

それは、薔薇の赤、水の冷たさ、ほほをなでる風のさわやかさ、夕暮れ時に訪れるそこはかとない寂しさ、蜜の甘さ…などなど。クオリアは、目覚めた瞬間から、耐えることなく私たちの意識を満たしている、のだと著者は言います。

 

さらに、クオリア自体は、世界共通の概念だけれど、私たちの住むこの「日本」という文脈に置き換えると、いきいきとしたユニークな調子を帯び始める…のだとも。

 

本書の中では日本を舞台に、自然・信仰・歴史・美術・文化と5つのカテゴリーにわけたクオリアについて言及していて、この日本の、日本人が持つ独特の感性や、共通認識などがまた非常に興味深く感じながら読み進めました。

 

そしてこの表現しようのない、また捉えようのない気持ちや感覚、情景を、この本は的確に輪郭付けてくれます。そのおかげで、それらが少しは目に見えるものとして、想いを向ける対象として存在できるようになるのではないか、と思えるのです。

 

私自身旅をしていた頃、またこの度の日本の暮らしの中で、それこそ無数のクオリアが体を、心を通り抜けてきました。それが一体何なのか、全く知る由もないままに…。

その都度それらは心をぬくぬくと温めたり、激しく揺さぶったり、涙腺を刺激したり、持っていき場のない狂おしい想いを抱かせたりします。

 

見るもの、薫るもの、触れるもの、聴こえるもの、味わうもの。

 

五感と記憶が結びつき引き起こされる「質感」、クオリア。私にとっては、つまり、そういうものなのだと理解して腑に落ちた気がします。

 

そんな風に意識して過ごす日常は、クオリアに満ちていて、自分だけのクオリアを味わうことの幸福に、気付かされる一冊です。